ここでは、電子・半導体工場排水の処理方法についてまとめました。半導体工場の排水は適切な処理を行うことで汚泥と水を分離させ、水質を改善していきます。どのような処理方法できれいな水へと蘇らせているのか、また排水の特徴についても見ていきましょう。
ページ下部では、電子・半導体工場に対応できる排水処理設備メーカーを一覧でまとめていますので、合わせて参考にしてください。
電子・半導体工場排水の特徴は、フッ素イオンが多く含まれている点が特徴です。フッ素イオンは、水質汚濁防止法により、工場において濃度の適切な処理と測定をすることが定められています。
電子・半導体工場の排水処理を行うには、フッ素イオンを「フロック」という細かな粒子として析出する必要があります。そのためには、まずフッ素イオンをカルシウムイオンと反応させ、「フッ化カルシウム」を生成します。そのフッ化カルシウムを排水中に析出し、薬剤を使ってフロックを凝集していくというプロセスになります。
フロックを沈降させるための作業を数回繰り返して、きれいな水にしていきます。凝集する作業はフロックサイズによって異なりますので、適切な処理を行いましょう。
沈降速度が速いほど、処理効率も向上します。
適切な処理によって成長したフロックを含む排水は沈殿槽へと移され、フロックのみが沈降します。ここで、水と分離されるわけです。 沈殿槽にて分けられた水には、さらに処理が施されます。ろ過、中和などを経て自然に放流、あるいは工業用水として工場内で再利用されることも。
分離されたフロックは、「汚泥(スラリー)」として汚泥処理に送られます。
半導体は近代の様々な産業に不可欠なものではありますが、一方で無機半導体を材料にしている半導体デバイスは、毒性無機化合物を含んでいるため、廃棄物の問題も生じています。2024年には、とある半導体工場の排水口から国の暫定指針値の2.6倍の有機フッ素化合物が検出されました。
規制対象物質の合算で、1リットルあたり125.93ナノグラムを検出しましたが、さらに排水を流している地下雨水管の排水溝からは、指針値の8倍を計測しました。半導体は我々の生活に欠かせないもので、特に日本の半導体は世界から出遅れており、挽回を図っています。
しかしこの調査で排水に含まれていることが判明したPFOA、PFOSは飲料水に含まれた場合、微量ではあっても抗体低下や腎臓がんの発症増加が懸念されています。このような健康被害を防ぐためにも、半導体工場の排水処理には責任が伴います。
実際に電子・半導体工場の排水処理の事例を紹介します。事例から、電子・半導体工場がどのような形で排水処理を行っているのか知ることができるだけでなく、実際に自社で排水処理を行う際の参考になることも多々あるはずです。
とある半導体工場では、排水を工場外に出さない取り組みを採用しています。「クローズドシステム」と命名されているシステムは、日本で2番目に広い湖・霞ケ浦に隣接しているからこそ、排水に対する強い意識から生まれました。
一般的に、工業廃水は無害化処理してから川に放流しますが、こちらの工場は工業廃水をリサイクルし、再び工場で超純水として使用しています。つまり、工場の外に排水しません。工場内から排水されるのは、工場内の食堂やトイレからの生活排水のみです。
タンクに集めた工業廃水を中和・酸化・還元処理を行い、水と水以外に分解した後、再生水として利用します。水分以外の濃縮液は外部の業者に処理委託しています。このようにして、1日およそ500t生まれる工業廃水のうち、委託処理する以外のおよそ95%を再利用しています。
とある半導体工場では製造工程で排出される廃棄物を、別の産業で使用する再生原料として利用しています。半導体工場にて生じている有機廃液には、ホトリソ工程で発生する現像廃液とエッチング工程で発生する剥離廃液がありますが、こちらの工場では現像廃液処理をろ過とバクテリアによる生物分解の2種類の方法で処理していました。
しかし処理に限界があったことから別の方法を模索して、微生物リアクターと呼ばれる手法を採用しました。その結果、有機系産業廃棄物年間およそ1500トンの削減に成功しました。
とあるパワー半導体の製造を中心に行っている工場では、成膜・塗布・エッチングを何度も繰り返すことから、大量の超純水を必要としていました。さらに生産設備の冷却水など、多くの水を使用しなければなりませんので、水の再利用を模索していました。
水は無限ではない点、さらには地域全体の水資源の確保の責務を果たすため、生産設備排水から再利用可能な水を切り分けてリサイクルを実行しました。これまでリサイクルが難しいとされていた排水の再生利用に取り組むことで、地下水資源の保護にも貢献しました。一朝一夕で成功したのではなく、20年以上もの試行錯誤の繰り返しで生まれたものです。
意識したのは現場の作業を増やさないことでした。現場の負担を大きなものにしては効率が悪いと考え、人の手を極力介さず、できる限り自動で水資源のリサイクルを行えるよう配慮して、環境型・循環型の排水環境の構築に成功しました。
2023年11月8日時点、Google検索で「排水処理 施設 設計」と検索して表示される全29社のうちから、電子・半導体工場排水への対応が公式HPから確認できた企業を掲載しています。
オルガノは、排水処理施設の設計からアフターメンテナンスまで対応している会社です。さまざまな排水処理システムを取り扱っており、除去物に合わせた提案を行っています。また、排水処理施設や水処理事業における実績も多数あり(※)、幅広い業界に対応しています。
| 所在地 | 東京都江東区新砂1-2-8 |
|---|---|
| 電話番号 | 03-5635-5100(代表) |
| 公式URL | https://www.organo.co.jp/ |
水処理施設の設計・施工からメンテナンス、維持管理までトータルサポートを行う「水」のプロ。食品や半導体など、さまざまな分野の水処理施設に対応しています。公共、民間ともに、それぞれニーズに合わせたサービスを提供することで、安心・安全な社会の実現に貢献している会社です。
| 所在地 | 東京都豊島区東池袋3-1-1 サンシャイン60 34F |
|---|---|
| 電話番号 | 03-6386-3001(代) |
| 公式URL | https://www.hitachi-hps.co.jp/ |
ダイネックスは、膜分離活性汚泥法や担体流動法など、多種多様な処理方法を提供しています。災害時や排水が増えた時などに短期間で設置できる移動式の膜ユニットも提供しています。また、排水処理施設の設計や施工を自社で担当しているため、時間ロスを減らすことが可能です。
| 所在地 | 長野県飯田市上郷黒田2176 |
|---|---|
| 電話番号 | 0265-23-1122 |
| 公式URL | https://www.dinex.co.jp/ |
環境技研では、技術スタッフが排水処理施設の設計段階から施工まで携わる体制を整えています。豊富な納入実績も有しており(※)、水処理分野のプロが広くサポートしてくれるのがメリット。排水処理に関する調査や、コンサルティングにも自社で対応しています。
| 所在地 | 新潟県新潟市中央区出来島2-10-12 |
|---|---|
| 電話番号 | 025-284-0221 |
| 公式URL | https://www.kankyo-giken.co.jp/ |
排水処理の総合プランナー。水処理施設の設計・施工のほか、事前調査からメンテナンス、保守点検までサポートを行っている会社です。環境を守りながら生産活動を行えるよう、企業のコンサルティングサービスにも注力。常に良い状態で稼働できるよう、幅広い範囲をカバーします。
| 所在地 | 富山県富山市本郷東坪2476-7 |
|---|---|
| 電話番号 | 076-436-0147 |
| 公式URL | https://www.h-fujiyoshi.co.jp/index.html |
省スペースで処理能力をアップ(増強・増設)できる排水処理施設の設計会社を排水の種類(有機系排水・無機系排水)別にご紹介します。どんな工夫で省スペースでの設計を叶えているのか、ぜひ参考にしてください。
主に食品工場や化学工場から出る炭水化物・タンパク質・脂質などの成分を含む排水
主にガラス製造業、半導体工場などから出る重金属などを含む排水
【選定条件】
2023年11月8日時点、Google検索で「排水処理 施設 設計」と検索して表示される全29社のうち、工場排水に対応していることが確認できるのは19社でした。
そのうち、以下理由で2社を選定しています。
・バチルテクノコーポレーション(有機系排水)…有機系排水への対応が確認できる17社のうち、増設時の「設置スペース不足」課題へ対応する省スペースの排水処理設備を取り扱っているのは2社でした。加えて、新たな設置スペースが不要な設備を取り扱っていることから、より有機系排水処理施設の増設(増強)をしたい企業のニーズにマッチすると判断。
・オルガノ(無機系排水)…無機系排水への対応が確認できる6社のうち、唯一、増設時の「設置スペース不足」課題へ対応する省スペースの排水処理設備を取り扱っているため、無機系排水処理施設の増強(増設)をしたい企業のニーズにマッチすると判断。
日々のトラブルへの対応や部品交換など、設備建設後のメンテナンスを含めて長く付き合っていける信頼のある設計会社を排水の種類(有機系排水・無機系排水)別にご紹介します。排水処理業務のパートナーとなる会社選びへ、ぜひ参考にしてください。
主に食品工場や化学工場から出る、炭水化物・タンパク質・脂質などの成分を含む排水
主にガラス製造業、半導体工場などから出る重金属などを含む排水
【選定条件】
2023年11月8日時点、Google検索で「排水処理 施設 設計」と検索して表示される全29社のうち、工場排水に対応していることが確認できるのは19社でした。
そのうち、以下理由で2社を選定しています。
・森永エンジニアリング(有機系排水)…有機系排水への対応が確認できる13社のうち最も、納入実績が1,500件と多く、信頼性のある企業として選出。
・クボタ(無機系排水)… 無機系排水への対応が確認できる6社のうち最も、創業年数が133年と長く、信頼性のある企業として選出。
※1参照元:森永エンジニアリング公式(https://www.morieng.co.jp/strengths/)2024年1月22日時点